レンタカー利用のメリット・デメリット
近場の引っ越しは荷物の移動手段であるクルマと人手さえ確保できれば、あとは何とでもなる。学生や独身サラリーマン・OLなら荷物もそれほど多くはない。手伝ってくれる友人が2、3人いるなら、レンタカーを借りて自分でやるのもいい。
レンタカーでの引っ越しはレンタカー代と友人への謝礼くらいだかる料金的には安上がりだが、素人の引っ越しだけに注意すべき点も多い。まずはレンタカー利用のメリット・デメリットを整理しておこう。
レンタカーを利用した引っ越しのメリットは、だいたい次のようにまとめることができる。
@上手にやれば引つ越し費用を安くできる
基本的にかかるのはレンタカー代と友人への謝礼だけ。あとはすべて自分たちでやるかいタダですむ。労力を惜しまず、なるべく人の手も借りなければ、激安引っ越しも可能だ。
A自分の都合でいつでも好きなときに引つ越しができる
引っ越しのダンドリをすべて自分の都合で決めることができる。3月、4月の引っ越しシーズンでも、業者の都合を考える必要がない。仕事などの関係で平日の深夜早朝しか時間のない人でも、マイペースで引っ越しできる。
B仲のいい友人たちとイベント感覚で引つ越しができる
業者を頼めば見ず知らずの作業員と顔を合わせることになる。お願いしている以上、何かと気も遣わなければいけない。その点、仲のいい友人ならワイワイ楽しくイベント感覚で引っ越しができる。
@手伝つてくれる友人に謝礼をする必要がある
いくら仲のいい友人でもタダ働きさせるわけにはいかない。友人への謝礼がかさむようだと、業者に頼んだ方が安Lがりということもある。働きの悪い友人を人選してしまうと、あとで謝礼を払うのがイヤになる。人選は大事だ。
A適正な作業人数が揃わない
素人では荷物の量や内容に見合った適正な作業人数を判断するのが難しい。一般的には気心の知れた友人が2、3人いれば十分だが、約束しても当日になって「ごめん、行けない」とドタキャンを食らうこともある。このため人手が多すぎたり、少なすぎたりして、しばしば作業に支障が出る。
【人数が多すぎて起こるトラブル】
働かない人が出る。
回数が多く作業が進まない。
荷物の破損などが起きたときの責任の所在が曖昧になる。
【人数が少なすぎて起ころトラブル】
大きい荷物が搬出、搬入できない。
作業時間がかかりすぎる。
無理をして荷物を落としたり、壊したりする。
B 2DK以上の大型の引つ越しは無理がある
レンタカーで引っ越しできるのはワンルームかl DKまで。2 DK以上の部屋になると荷物の量が多く、搬出入、据えつけなどの労力を考えたら業者に頼んだ方が絶対にラクだ。プロと違って素人の引っ越しは、荷物の搬出入の際に家具などで床や壁を傷付けることも多い。下手をすると敷金では精算しきれないほどの修理代を請求される可能性もある。
C中長距離の引つ越しは難しい
レンタカーで引っ越しできるのはワンルームかl DKまで。2 DK以上の部屋になると荷物の量が多く、搬出入、据えつけなどの労力を考えたら業者に頼んだ方が絶対にラクだ。プロと違って素人の引っ越しは、荷物の搬出入の際に家具などで床や壁を傷付けることも多い。下手をすると敷金では精算しきれないほどの修理代を請求される可能性もある。
C中長距離の引つ越しは難しい
移動時間がかかればその分、レンタカー代もかさむ。素人だけに道に迷ったりして時間をロスする危険もある。また不慣れなトラックの長時間運転は事故の危険もある。レンタカーでの引っ越しは、せいぜい片道2〜 3時間程度が限度だろう。
D荷物の破損、紛失の補償がない
業者の場合は引っ越しの際の荷物の破損、紛失は約款の規定や保険で補償されるが、レンタカーを使って個人で引っ越す場合は、そうした補償は一切ない。友人に大事な家具でも壊されたら、友情にヒビが入ることだってある。
レンタカー利用の引越術
業者に頼む場合は、部屋の荷物を見せれば、適切なタイプ・サイズのトラックを手配してくれる。しかしレンタカーを借りて自分でやる場合は、このトラックの選別の作業を自分の判断でしないといけない。
レンタカーを借りる場合のポイントは次のようになる。
@ トラックのサイズを決める
どのくらいの大きさのトラックを借りるかは、荷物の量、運転者の技量、道路事情などを考慮して決める。
レンタカーは時間制なので、片道30分程度なら軽トラックを借りて何度か往復する手もあるが、搬出入を2度、3度繰り返すのは大変だから、できれば一度ですむようなサイズのトラックを借りた方がいい。
普通免許で借りられるのは4トンロングまで。ただしクルマの運転に不慣れな人が2トンを超えるような車幅・車長を持つトラックを転がすのは容易なことではない。普段からマイカーなどを運転している人でも2トンロングが限度だろう。
もっとも単身者の引っ越しなら、普通は2トンもあれば大丈夫。荷物の少ない人なら、軽トラックやワンボックスバンでも十分だろう。
2トントラックで収まらないような引っ越しは、自分でやるには荷が重すぎる。友だちを頼むにしてもあまりのシンドさに後日恨まれること必至である。2トントラックでも収まらないような引っ越しは、業者に頼んでやってもらった方が絶対にラクだし、安全である。
A トラックのタイプを決める
当日の天候や荷崩れの′とヽ配などを考えると、平積みのトラックよリハイエースなどのワンボックスバンやアルミのコンテナを積んだレンタホール、幌つきのトラックなどの方が安心だ。
レンタカーのレンタル料金は基本的に、〈基本料金〉+〈燃料代〉+〈保険料〉+〈その他〉である。
@基本料金は車種と時間で決まる
レンタカーの基本料金は、基本的に借りるクルマの車種と時間によつて決まる。
ニッポンレンタカーでは、カード発行手数料300円でメンバーになると、一般料金の最大20%オフでレンタカーが利用できる。たとえば12時間料金で2トンの標準トラックが1万400円、アルミボックスを積んだ2トンレンタホールが1万4900円で借りられる。
A燃料代は走つた分を実費で負担する
レンタカーの燃料(ガソリン、軽油)は貸し出し時に満タンになっている。
このため返却するときは、利用者は走って消費した分の燃料を実費で補給し、再び満タンにして返すことになっている。返す前の給油で20リットル入れば、その分が引っ越し代にカウントされる燃料代ということになる。
なお燃料代は走行距離に応じて消費した分を推計し、現金で支払う方法もある。
B保険料はレンタル代に含まれる
レンタカーを利用した引っ越しで一番心配なのは交通事故だ。大きな事故でも起こせば、新居での新生活どころではなくなってしまう。
幸いレンタカーの車両には保険・補償がついている。しかも保険料はレンタル料に含まれているから、別途、払う必要がない。
ニッポンレンタカーの補償内容は以下のとおり。
・対人補償……無制限(自賠責3000万円を含む)
・対物補償……500万円(1事故限度額、免責額:5万円)
・車両補償……時価額(1事故限度額、免責額は車種により5万円または10万円)
・搭乗者傷害補償……1000万円
死亡:1000万円/1名限度額×定員
入院:7500円/1日
通院:5000円/1日
後遺障害:程度により死亡補償額を限度とする
なお加入料1000〜 2000円で車両・対物事故免責額補償制度に入れば、対物、車両の免責額をカバーすることができる。
Cその他の費用は抑えることができる
その他の費用は、クルマの乗り捨てやカーナビ、タイヤチェーン、ルーフキャリア、幌などの装備品、高速代などだ。
これらは利用しなければかからない費用だから、節約することが可能だ。天候、距離、道路事情、作業時間などをよく考えて利用するかどうかの判断をしたい。冬場の引っ越しで雪が予想されるようなときは万一に備えてタイヤチェーンは必須である。
D キャンセル料は7日前までなら無料ですむ
ニッポンレンタカーの場合、キヤンセル料は次のようになっている。
・出発日の7日前……………………………無料
・出発日の6日前〜 3日前……・・基本料金の20%
・出発日の2日前〜前日………・・基本料金の30%
・出発日の当日・…………………基本料金の50%
自分で引っ越しをやる場合、忘れてならないのが、手持ちのエアコンなどの取り外し(旧居)・
取り付け(新居)である。
業者に引っ越しを依頼する場合は、オプショナル・サービスで一緒に頼んでしまえばいいが、自分で引っ越す場合は電気店に頼まないといけない。
エアコンなら購入した電気店に頼むのが一番いい。費用は取り外し+取り付けで
2万円前後。
プロの引っ越し業者と素人の違いが一番出るのは、 トラックヘの荷物の積み込みである。プロは積み下ろしのダンドリや荷物の安全性などを考えて理詰めで積み込むが、素人は何も考えないで来たものからドンドン積み込んでしまう。これでは着いてからの積み下ろしが大変だし、荷物の安全性だって心配だ。
@幌付きや幌なしでは荷物の落下防止に注意する
ワンボックスやアルミコンテナのトラックは荷物の落下の心配がない。しかし幌つきや幌なしのトラックは要注意。幌付きなら大丈夫と思いがちだが、幌と荷台のすき間から荷物が転げ落ちることがよくある。
これを防ぐには、幌と荷台の間にベニヤ板などを挟むようにするといい。幌なしの場合は必ず荷物の上にシートをかぶせ、そのにか喝しっかリロープをかけること。こうしておけば、まず荷崩れの心配はない.ロープのかけ方は、レンタカーの営業所の人によく聞いておこう。
A積み込みのダンドリを考える
業者に引っ越しを頼む場合は、 トラックヘの積み込みなど気にする必要はないが、レンタカーを借りて自分で引っ越すとなると、俄然、この作業の重みが増す。積み込みのダンドリが悪ければ、搬出入に手間取るし、いいかげんに積み込んでしまえば、走行中に荷崩れを起こすかもしれないからだ。
積み込みのダンドリ、作業手順を整理しておこう。
トラックの荷台の両佃1に大きな家具を積み、その内側に小さな荷物を積む。家具は傷が付かないように古い毛布などで包む。
重量のあるモノを荷台の奥に載せる。
奥からダンボール箱を積み上げる。必ず重いダンボール箱を下にして上に軽いダンボール箱を載せる。
全体のバランスを考えて前後左右に重量が傾かないようにチェックしながら積み込む。
荷物と荷物の間にすき間があると振動で荷崩れを起こす恐れがある。すき間があるときは古い毛布やふとんなどを詰め物にして挟み込む。
レンタカー利用の引っ越しでは転居先への「荷物の移送」こそ最大の難関である。荷物を積んだトラックを安全確実に新居まで運ぶためのポイントを整理すると一。
@引つ越しルートを下見する
レンタカーを借りて自分で引っ越す場合は、通常、あまり移動距離のない近場の引っ越しが多い。このため「地図さえあれば何とかなる」と思いがち。しかし東京のような大都市では、事故や渋滞などの道路事情によっては、空いていれば30分で行けるところが1時間も2時間もかかることがある。
マイカーなどがあれば、できれば一度は引っ越しルートの下見をしておくこと。それも引っ越しを予定している曜日の同じ時間帯がいい。移動に要する時間のおおよその見当がつくはずで、これに道路事情など不測の事態を加味し、所要時間を推定する。
なお当日は、万一に備えて同乗者もクルマの運転ができる友人などに乗つてもらう方がいい。ルートのチェックなどナビゲーターの役目も安心して任せられる。
A走行中は積み荷の様子に気を配る
走行中に荷台や道路の後方で異常な物音などを感じたら、すぐにクルマを安全な路肩などに停めて荷物の状態を確認しよう。もし荷崩れが起きていたら、必ず積み直しを行うこと。
また荷物の一部が路上に落下した場合は、交通の妨げにならないようにすみやかに回収すること。その際、自分が事故に巻き込まれることのないように、同乗している友人などに後方からのクルマの確認(あるいは整理)をしてもらうといい。
B余裕を持つたスケジュールを組む
レンタカーを借りて引っ越しをやる場合は、なるべく余裕を持ったスケジュールを組むことだ。安く上げることばかり考えてレンタル時間をケチると、ハラハラドキドキの“超疲れる引っ越しになってしまう。
レンタル時間が「往復の移動プラス作業時間」でギリギリの設定だと、どうしてもクルマの移動に無理が出る。慣れないトラックの運転はただでさえ疲れるのに、先を急いでイライラしっぱなしでは、集中力もなくなってしまう。
つまらぬ事故を防ぐためにもレンタル時間はなるべく長めに取った方がいい。