荷造りは余裕を持って計画的に行う
引っ越し間際になって慌てないように、荷造りは季節外れのモノや普段使わないモノから毎日少しずつ始めるようにしよう。
忘れてならないのは、「これは引っ越したらすぐに開ける荷物」なのだということ。そして基本的に「一人で持てる荷物」であるべきだということ。あとは荷物の中身と連ぶ部屋をダンボール箱に明記するという大原則が守られていれば、引っ越した翌日から安心して新生活が始められる。
家中のモノを根こそぎ動かす引っ越しは、モノを整理する絶好のチャンスだ。いまあるモノをそのまま新居に運び込むのではなく、思い切って不要なモノを整理し、暮らしをスリムにすることも考えたい。
大物の粗大ゴミについては収集日の関係から早めの決断が必要だが、小物についても早くから荷造りをスタートさせ、少しずつコツコツと整理していくといいだろう。
なお荷造りは、住宅事情が許すなら、専用の部屋を一つ確保して行うと生活のジャマにな場ず、効率がいい。
荷造りには「こうやれば間違いなし」という手順とコツがある。
@普段使わないモノから先に詰めていく
本、雑誌、CD、MD、来客用の食器や寝具、衣類(シーズンオフのモノや減多に着ないモノなど)、押入や天袋に保存してあるモノ……。荷造りは普段使わないモノから詰めていく。それも本や雑誌のように重くて、上に積み上げても平気なモノから手を付けるようにするのがセオリーだ。
A本などの重いモノは小さなダンボール箱に詰める
本や雑誌などは一つひとつは軽いが、数がまとまると恐ろしく重い。業者の大中小のダンボールなら必ず〔小〕に入れるようにする。
逆に衣類などは相当まとめても重量はタカが知れているから〔大〕にどんどん詰めても大丈夫c「重いモノは小さな箱に、軽いモノは大きな箱に」が、荷造りの大原則だ。
なおダンボール1箱の重量は15〜 20kgが限度。これ以上重いと荷造り、荷解きが大変。搬出入まで自分でやる場合は、それこそ腰を痛めかねないから要注意。
B重いモノは箱の下に入れる
ダンボールの中身がバラバラで、重いモノ、軽いモノが混在している場合は、必ず重いモノを下に入れ、軽いモノを上にすること。こうしないと破損の危険があるし、バランスが悪く、安定しない。
C取り出すときのことを考える
シワの気にならない衣類などは箱に多めに詰め、しっかり梱包すれば、なかでバラつかず、整理のときもラクだ。
タンスの中身は引き出しごとにまとめて詰めるといい。そうすれば、荷解きのあとの荷物の整理や収納が断然ラクだ。ダンボールの上蓋や横腹に荷物表示をするとき、箱の中身のところに「洋服・和タンス○段目」と表示しておけばカンペキだ。
クローゼットなどにハンガー掛けしてあったものは、ハンガーにかけたまま箱詰めすれば、ダンボールを開けたときにそのままかけられるので便利だ。引っ越し業者によってはハンガー掛けできるボックス型の衣装ケースを貸してくれるので、見積もりのときに聞いてみるといいだろう。
D食器などには「割れもの注意!」の表示を必ず入れる
食器などの割れものは一つずつ新聞紙などでくるむのが原則。ダンボールの底に新聞紙を敷いてクッションを作り、茶碗やカップ類は伏せて、皿類は立てて詰める。
すき間には動かないように丸めた新聞紙やタオルなどをはさむ。梱包したら、誰が見てもわかるように「割れもの注意!」の表示を必ず入れる。そのほか取り扱いに注意を要するものについては「水漏れ注意!」や「天地無用!」などの表示を忘れずに入れておくこと。
E小物は場所別・種類別に要領よくまとめる
台所用品や文具類などの小物は、場所別・種類別に分けて要領よく箱詰めする。
なお軽くて小さなモノは、荷解きのときに間に詰めたクッションと間違えて捨ててしまうことがある。包みにマジックで印を付けるなどの工夫が必要だ。
Fダンボールの底蓋はガムテープを十字に貼ればカンベキ
「底が抜けたら大変Jと、ダンボールの底蓋にやたらとガムテープを貼る人がいる。でもガムテープはすべりやすいから、あまり底に貼ると手が滑って落としやすくなる。
業者のダンボールなら、とじ目に沿ってタテに貼るだけで大文夫。本などの重い荷物で心配な場合は念のため十字を切る感じでヨコにも貼る。これで十分だ。
なお、もらってきたリンゴ箱などの底蓋をねじって縦横に互い違いに綴じる人がいるが、あれは底が抜けやすいのでやめた方がいい。普通に短い方を下、長い方を上にして閉じること。
G新居ですぐに使うモノは別扱いにする
風呂・洗面関係(タオル、石鹸、シヤンプー、歯ブラシ、練り歯磨き、 トイレットペーパー等)、飲食関係(食器、ナベ、ヤカン、お茶、コーヒー、その他台所用品等)、衣服関係(当座の洋服、着替え等)、文房具(筆記用具、はさみ、カッター等)・…。
新居に引っ越したらその日からすぐに使うモノは専用のダンボール箱を1〜 2個作っておくといい.こうしておけば、とりあえず引っ越した当日や翌日はその箱だけ荷解きすれば生活できる。
H大きな家具や梱包が難しいモノは業者に任せる
タンスや応接セット、ピアノ、エレクトーン、冷蔵庫、テレビ、オーデイオ類、仁、壇、美術品、骨董品、人形ケース、鏡、シャンデリア……。大きな家具や梱包が難しいモノは、素人考えで下手な荷造りをするより業者に任せた方が安心だ。
荷造りしたらよいかどうか迷うときは、前もって業者の担当者に相談するといい(レンタカーを借りて自分でやる場合は観念して自分でやるしかない)。
Iダンボール箱には必ず荷物表示をする
ダンボールヘの箱詰めが終わって上蓋を開じたら、通し番号をふって、箱の中身は何か、新居ではどこに置くのか、誰が見ても一日でわかるように必ず荷物表示をしておく。黒か赤のマジックで強く、ていねいに、はつきりと書く。
たとえば「19(通し番号)/おもちゃ(箱の中身)/洋室A(新居での置き場所)」といった具合だ。こうしておけば、業者の作業員は搬出入がしやすいし、家族にとっても荷解きやそのあとの整理がスムーズに運ぶ。
置き場所の名称は、台所(キツチン)、居間(リビング)、和室、洋室(※ 複数ある場合は洋室A、B・…、あるいは洋室@、A・・)、納戸(サービスルーム)など、誰にでもわかる一般的なものがいい。「パパの部屋」とか「ケンちゃんの部屋」とか、家族にしかわからない名称は避ける。
なお、もらってきたダンボールで、文字や絵、色などが大量に印刷されていて、荷物表示のための余白が十分でないときは、手製の「荷札」を作って、前もってダンボールのL蓋や横腹に貼っておくといい。こうしておけば、箱詰めが終わると同時に荷物表示の記入ができる。
J荷物リストを作成する
荷物表示を書き終えたら、それと全く同じ内容を大学ノートなどに記入し、「荷物リスト」(荷造り明細)を作成する。メモ帳などに書いたのでは引っ越し間際の忙しさに紛れて紛失しかねない。必ず荷物リスト専用のノートを用意しよう。
荷物リストは、荷物表示に合わせて、通し番号、箱の中身、新居での置き場所を一覧表にまとめていく。
こうして箱の中身と置き場所を一覧表の形で整理しておけば、搬出入の際の荷物の確認や、急に何か必要になったときなど余分な箱を開けることなく一発で目的の荷物を取り出すことができる。
K作業員に渡す見取り図を作成しておく
「家具のレイアウト決定」で作成した新居の見取り図をもとに、荷物の搬出入を容易にするため、引っ越し当日に引っ越し業者の作業員(レンタカーを借りて自分でやる場合は手伝ってくれる友人)に渡す簡単な見取り図を作成しておく。
家具のレイアウト決定で作成する見取り図では、家具などの配置だけでなく、どこに何が入るのか、押入などの収納内容まで網羅的に列挙するが、作業員に渡す見取り図はそこまで詳細である必要はない。
ダンボールの荷物表示に書かれた「置き場所」がどこで、ダンボール以外のテレビやタンス、冷蔵庫などがどこに入るのか、それさえわかればいい。
したがって作業員に渡す見取り図の作成のポイントとしては、
正確な間取り
部屋の名称( ※荷物表示の「置き場所」と必ず統一する
家具などの配置が一日でわかるようなスケッチ
などに注意すればいいだろう。
引っ越し業者の作業員は見取り図を玄関ドアなどにテープでとめ、それをチェックしながらダンボールや家具などを搬入する。
搬入作業をしながら横目で見取り図を見ることも多いから、なるべく大きな紙に書くようにしよう。新聞の1ベージ大くらいの大きさなら文句なしだ。紛失することもあるので念のため何枚か用意しておこう。
これで安全・確実!荷物別梱包テクニック
引っ越しで一番面倒なのは荷造り、梱包である。時間も手間もとにかく大変だから、なかには「え―い、全部業者に頼んじゃえ!」という人も少なくない。
ただし梱包まで引つ越し業者に頼むとなると、費用は高くなる。引っ越しを少しでも安く上げるには、荷造りは絶対に自分でやった方がいい。
とはいえ、荷造りは何でもかんでもダンボール箱に詰め込めばいいというものではない。大事な荷物を傷付けない、壊さないようなやり方がちゃんとある。
プロの引つ越し業者にも負けない、モノに応じた荷造りのコツ、梱包テクニックをまとめておこう。
シワの気にならないモノはどんどんダンボール箱に重ねて入れてしまう。衣類はそれほど重くないから、普通は大中小の〔大〕の箱に目一杯詰めても大丈夫だ。
日安としては1箱15〜 20kg。このくいいが引っ越し荷物としてはベストだ。
もちろん自分で持った感じで、「重いかな…… ?Jと思えば、〔中〕に替えればいい。いずれにしろl箱梱包すれば、 どのくらい入るのか、どのくらい入れたらどの程度の重さになるのか、そういった見当がつく。
シワになったら困るようなモノは丁寧に重ねて入れる。ハンガーにかかっていたモノはそのまま箱詰めした方が、出して整理するときにラクだ。
またシーズンオフの衣類は、「どうせすぐには着ないんだから」とダンボールに入れたまま何ケ月も押入のなかに放ったらかしにするケースが少なくない。
この場合、怖いのは“虫”。冬物のセーターなどは、長い間、ダンボールのなかに入れたままにしておくと、「カノジョに編んでもらったのに虫に食われてボロボロ…」などということにもなりかねない。
ズボラを自認し、「私ならやりかねない…」と思う人は、念のため、シーズンオフの衣類の入ったダンボール箱には防虫剤を入れておいた方がいい。
《下着・靴下》
下着や靴下はぺちゃんこにつぶれても大丈夫だ。このためシワができたりつぶれたりするのがイヤな衣類と一緒に梱包するときは、箱のいちばん下に入れる。
家族の下着はそれぞれ別々のダンボールに詰めるか、ビニール袋などに分けてから梱包する。一緒に箱詰めしてしまうとあとで整理するのが大変だ。
《和服・背広・ワンピース》
和服は底の浅い衣装箱に入れ、重みがかからないようにする。高価なモノは業者に相談した方がいい。
背広やジャケットなどは、シワにならないように裏返しにして袖をなかに入れる。襟を立てて縦に二つ折りにして長いダンボール箱に入れる。ワンピースなども二つ折りにして入れる。シワにならないようにいずれも箱の上の方に入れるようにしよう。
業者によってはハンガー掛けができるボックス型の衣装ケースをタダで貸してくれる場合がある。これだとあとで整理するのがラク。見積もりのときに確認しておこう。
《靴》
買つたときの箱が残っていれば、それに入れ、ダンボール箱に詰める。
残っていないときは、ビニール袋に1足ずつ入れ、ダンボール箱に詰める。高価な靴が多く、型くずれなどが,亡、配なときは、上に重い荷物が乗らないように蓋は開けたままにしておく。
ふとんや毛布などは軽い順に畳んで積み重ね、その上からふとん袋をバサッとかぶせてひっくり返せばきれいに収まる。毛布は大きめのダンボールに入れてもいい。
なお、ふとんの間に食器や鏡、額などのワレモノを挟む人がいるが、これは絶対にやめた方がいい。
「ふとんは最高のクッション」と思ってのことだろうが、逆に作業する人間にしてみれば、「ふとんは壊れないから雑に扱っても大文夫」という意識が強い。冷蔵庫やタンスのように「壊しちゃいけない、傷を付けたら大変だ」と、心配しなくていいのである。
しかもふとん袋は重い。冬物の厚いふとんなどがびっしり入っていたら相当の重量になる。このため業者の作業員の質が悪いとかなり乱暴な扱いを受けることがある。
友人などに頼む場合は、よほど人選をしっかりしないと、「え―い、重い。下まで運ぶのは面倒だ。落としちゃえ!」と、階段から蹴落とされかねない。
新居でふとんを出したら粉々に砕けたガラス片が無数に刺さっていた、などということにならないようにくれぐれもご用心を。
食器などのワレモノは直に触れて割れないように一つずつ新聞紙などでくるむ。
ダンボール箱に詰めるときは、底に新聞紙を厚く敷いてクツションを作り、重いモノから順に、茶碗やカップは伏せて、皿類は縦にして入れる。すき間には動かないように丸めた新聞紙やタオルなどを詰め込んでいく。
予算的に許すなら、引っ越し業者や梱包資材屋からクッシヨンペーパーやエアキヤップなどの市販の緩衝材を買って利用すれば、作業が簡単だし、早い。
もちろん新聞紙で十分だが、あれば便利なのは間違いない。業者によつてはタダで少し分けてくれることもあるので、見積もりのときに聞いてみるといい。
箱詰めが終わり、蓋をしたい、「このダンボールにはワレモノが入っているんだな」と誰が見ても一日でわかるように、「割れもの注意|」の表示を必ず入れておくこと。赤のマジックで上蓋と横腹に最低3ケ所は記入しよう。
市販のステッカーもあるが、きちんとわかるようにすれば、手書きで十分だ。
《皿・茶碗・グラス》
積み重ねができる皿や茶碗のような食器類は、あらかじめ一つずつ新聞紙にくるんで包み、さらにそれを5〜 6個ひとまとめにして新聞紙でくるんで、上からぐるりとひもをかける(あるいはガムテープでとめる).。
グラスや薄手のカップなど割れやすいものは、一つひとつ念入りに新聞紙でくるむ。ワイングラスなどは折れやすい細い首の部分にも忘れずに新聞紙などを巻き付けておく。
《包丁・スプーン・フォーク・箸》
包丁はむき出しで箱詰めするわけにはいかない。そこで刀の鞘を作るような感じで、刃の部分を厚手の紙ではさみ込み、ガムテープでしっかりとめて固定する。
一日で包丁だとわかるようにしておいた方が、荷解きのときなどにケガをする′亡、配がない。新聞紙などにくるんで下手に紙袋などに入れてしまうと、かえって危ない。包丁を箱詰めするときは箱のいちばん下に入れるようにしよう。
スプーンやフォーク、箸などは、数本ずつまとめて縛り、ビニール袋などに入れておく。これなら整理も簡単だし、すぐに使えて便利だ。
《びん》
調味料などのびん類は、キヤップをしっかり開め、万一割れても中身が出ないように、 1本1本ビニール袋に入れ、さらに新聞紙で包む。これを、底に新聞紙を敷いたダンボール箱に入れる。
ダンボール箱に詰めるびんは、なるべく同じようなサイズに揃えるようにする。
びんとびんの間には新聞紙などのクッションをきっちり詰めて、隣のびんに当たらないようにする。
ダンボールのような厚手の紙でびんとびんの間に仕切りを作ればカンペキだ。
びんを詰めたダンボールは、一日でワレモノとわかり、上に荷物を載せることのないように、箱詰めが終わつても上蓋を開じない。
上蓋は、はじめからダンボール箱の内側に折り込んでおくか、
なお中長距離の引っ越しの場合、調味料などは引っ越しが決まった時点から計画的に使用し、使い切ってしまうのがベストだ。
こうすれば、やっかいな引っ越し荷物を一つ減らすことができる。
《なべ》
なべ類は蓋と本体に分け、新聞紙などを間にはさみながら、大きい順に大から小へと重ねていくとコンパクトにまとまる。
そしてダンボールの深さを考えて適当に重ねたところで、ずれないようにひもでくくる。あとはこのままダンボール箱に入れてしまえばいい。
なべの東が何個入るかはダンボールの大きさによるが、いずれにしろすき間には新聞紙などをはさんで、なべとなべがぶつからないようにする。
いいかげんに新聞紙を詰めておくと、なべとなべがぶつかって、へこんでしまうことがある。要注意。
電気製品を荷造りするときは、買つたときのケースが残っていれば、そのケースに入れる。
購入時のケースが残っていないときは、基本的に次のように考える.。
@小物は自分で箱詰めする
ポットや炊飯器程度の小物については、ダンボール箱に入れて、すき間をタオルなどでしっかり埋めて固定する。そして_上に重い荷物が載らないように「壊れもの! 取扱注意!」と赤のマジックで表示し、「ポット」とか「炊飯器Jといった製品名も大きく書いておこう。
A中。大物は業者に任せる
テレビやオーデイオ、洗濯機、冷蔵庫など中・大物の電気製品については、電源を抜いて、配線をはずしたり、水抜きをするなど基本的な約束事だけやっておいて、あとは業者に任せる。
レンタカーを借りて自分で引っ越しをやる場合は、古い毛布やベッドパツド、タオルケット、ふとんなどを用意しておいて、トラックに積み込む際、壊れないようにしっかりくるんで、ひもをかけ、固定する。
《冷蔵庫・洗濯機》
前日までになかをカラつぽにしておくこと一。冷蔵庫の引っ越し準備はこれに尽きる。
食品類は引っ越し日を頭に入れて、前日までに計画的に食べ切る、あるいは使いきること。あとは“水”の処理。製氷器の氷や蒸発皿の水を捨てるほか、自動霜取りができない冷蔵庫では前日までに電源を切って、霜取りをしておく。
コンセントか喝抜いた電気コードはきれいに巻いて、冷蔵庫の本体にガムテープでとめておく。
洗濯機は前日までに洗濯槽やホースのなかに残っている水を完全に抜いておく。ホースは留め具にかけてガムテープで固定し、アースや電気コードは、なくならないようにきれいに巻いて洗濯槽に入れておく。
《テレビ・オーディオ機器》
購入時のケースが残っていれば、それを使う。ないときは電源、配線コードを抜き、きれいに巻いて、本体の裏などにガムテープでとめておく。
テレビ・オーディオなどのAV機器は、一度配線をバラすと接続をやり直すのがとても面倒だ。
そこで配線をバラすときは、接続されていた端子とピンプラグなどにテープを貼り、そこにたとえば、〈A-1ピンプラグ〉は〈A-1端子〉に接続されていた、ということがわかるように油性のペンか何かで同じ記号や番号をテープに書いておくといい。
こうしておけば新居についてから配線をやり直すのに手間がかからず、すぐにBS放送やビデオを楽しんだり、CDを聴いたりすることができる。
《パソコン・周辺機器》
パソコン、モニター、キーボード、プリンター…。パソコンや周辺機器は、静電気などに対してとてもデリケートだ。購入時のケースが残っているときは、それを使えばいいが、残っていないときは、たとえ小物であっても見積もりの段階で引っ越し業者に「荷造りはどうすればいいか」相談した方がいい。高価な製品だけに素人考えで梱包するのは危険である。
《石油ストーブ・ファンヒーター》
必ず灯油を抜いておくこと。灯油が漏れ出すと他の荷物を汚し、モノによってはダメにしてしまう。何かの拍子で引火する可能性だってゼロとは言えない。点火用の電池は必ずはずしておこう。
また除湿機能が付いている場合は除湿用の水をカラにしておくことも忘れずに。
《照明器具》
購入時の箱があればそれを使う。なければ、シェードや電球は新聞紙やタオルなどの緩衝材でまわりを包み、適当なサイズのダンボール箱に入れる。さらにダンボール箱のなかで動かないように、まわりに新聞紙などをたくさん詰めて固定する。
なお、なかに何が入っているのかわかるように、また上に重い荷物が載らないように上蓋は開けたままにしておく。
《エアコン・湯沸かし器》
エアコンや湯沸かし器など取り外しに特殊な工事の必要なモノは前もって手配をしておくこと。引っ越し業者にオプシヨンで頼んでおけば、提携している下請け業者が引っ越しの前日までに取り外し工事を、また当日以降に取り付け工事をやりに来てくれる。
和・洋タンス、机、ダイニングテーブル、ベッド、ソファー、本棚…。
家具類は大きく、荷造りが難しい。このため業者に頼んで引っ越す場合は、引き出しの中身をカラにしておくとか、分解できるものはバラしておくとか、荷主としての義務、約束事だけをきちんとやっておけばいい。あとは作業員に任せることだ。
レンタカーを借りて自分で引っ越す場合は、古毛布やベッドパッド、タオルケット、ふとんなどを用意しておいて、 トラックに積み込む際、傷が付いたり、壊れたりしないように、しつかりくるんで、ひもをかけ、固定すること。
こうしておけば傷も付かないし、扉が開いたり、引き出しが飛び出したりすることもない。
《和・洋タンス》
タンスの中身は必ず出しておく。中身が入ったままでは重くて運ぶのが大変だし、モノによつては運送中の振動で壊れたり、タンスを傷付けたりする恐れがある。
引き出しに入つているモノは、引き出しごとにダンボールに箱詰めする。そして荷物表示の際、箱の中身のところに「衣類(和タンス・2段目)」としておけば、あとで整理するのがラクだ。
洋タンスにハンガー掛けしてあるモノは、ハンガーを掛けたままダンボールに箱詰めするか、弓|っ越し業者のハンガー掛けボックスを利用する(業者によつてはタダで貸してくれる)。
なお、カラにした引き出しやドアを「開かないように」とガムテープでとめる人がいるが、これは絶対にやめた方がいい。はがすときに家具の塗料がはげたり、塗料の下のプリント合板まで一緒にはがしてしまうことがあるからだ。
《机》
タンスと同じように引き出しの中身をカラにし、机の上にあるデスクライトや文具ケースなどをきれいに片付けておけばよい。あとは業者に任せよう。
引き出しの中身は、引き出しごと箱詰めすれば整理がラクだ。一つのダンボールに詰めるには引き出しの中身が少ないときは、小さな箱や袋に入れて机の上の他の文具類などと一緒にする。そして小さな箱や袋にはナンバリングをしておくといい。この場合の荷物表示(=荷物リスト)は、箱の中身の部分を、たとえば、「文具類(@机の引き出し、A机の上、B文具ケース)」といった具合に明細化する。
《テーブル・ベッド・本棚》
リビングテーブルやダイニングテーブルは基本的に分解することができる。
このためテーブル類は、搬出入がしやすいように引っ越し前日までに分解し、ネジ類はビニール袋にまとめて入れ、テーブルの板の裏にガムテープでとめておく。板の表は塗料がはがれたりする恐れがあるので、必ず裏側にとめること。
テーブルの脚などは分解したまま放っておかないで、全部まとめてひとくくりにしておく。その際、直接脚を東ねると移送中の振動などで傷が付く恐れがあるので、それぞれ新聞紙やタオルなどでくるんで、それを一つに束ねるようにするといい。
ベッドや本棚についても分解できるモノは前日までに分解しておくようにしよう。
なお組立図が残っている場合は、ネジ類と一緒にしておけば、あとで組み立てるときに便利だ。組立図が残っていない場合は、分解するときに略図を書いて、「このネジはこの穴に入る」とか「この棒はここに入れる」とか、簡単なメモを作つて、ネジ類と一緒にしておくといい。
《ソファー》
これは引っ越し業者にすべて任せる。レンタカーを借りて自分で引っ越しをやろうと思っている人も、二人掛けのラブソフアー程度ならともかく、それより大きなソファーがある場合は、万一の場合を考えて、ソファーも含めてすべての引っ越しを業者に頼むことを考えた方がいい。
4人も5人も腰掛けられるような大きなソファーになると搬出入はもとよリトラックヘの積み込みも大変だ。「適当に古毛布でも当てておけば平気だろうJなどと素人考えで積み込むと、移送中に張つてある布や皮が破れたりして、あとで「このソファー、高かったのに…」と、がっかりするのがオチだ。
《鏡・ガラス物》
鏡、掛け時計、人形ケース…。鏡やガラス物は購入時のケースがあればそれを使う。ないときはタオルなどの緩衝材でよくまわりを包み、適当なサイズのダンボール箱に入れ、動かないように新聞紙などをたくさん詰めてすき間をなくす。鏡や掛け時計はタテに詰める。
壊れやすいものだけに、できれば引っ越し業者などから市販のエアキャップなどの緩衝材を入手し、梱包に万全を期した方がいい。業者によってはタダで少し分けてくれることもあるので、見積もりのときに聞いてみるといいだろう。
ダンボールに箱詰めしたあとは、なかに何が入っているのかわかるように、また重い荷物が上に載らないように、蓋は開けたままにしておく。ダンボール箱には「壊れもの! 取扱注意!Jの表示を忘れずに。
なお引き出しの付いた鏡台などは、机と同じように引き出しのなかをカラにしておくだけでいい。
あとは業者に任せよう。また姿見のような大きな鏡も自分で荷造りするより業者の作業員に任せた方が安心だ。
書籍・雑誌類は数がまとまると非常に重い。このため箱詰めするときは大中小の〔小〕の箱に入れるようにしよう。
同じサイズで揃えるのが基本だが、本棚が5個も10個もあるような読書家の場合は、サイズよリジャンルで分けて梱包していつた方が本棚に戻すときラクだ。あとで整理しやすいように荷物表示(荷物リスト)にも気を配ろう。
雑誌は特に重いので、箱詰めして持ち上げるのにシンドイようなら、量を半分程度に減らし、その分の穴埋めに軽めの書籍を詰めるなどの工夫を。またすき間ができて、箱を持つとなかで動いてバランスが悪いような場合は、新聞紙などですき間を埋めること。
本棚もないような少量の書籍・雑誌なら、箱詰めしないで手頃な重さにまとめてビニールひもで十文字に縛つておいてもかまわない。
ただし本棚が1個以上ある場合は、ひもで縛るだけでも大変だし、搬出入の際に何度も何度も往復しないといけないので効率的にもバツ。本棚が2個3個ある場合は絶対に箱詰めした方がいい。
ひもで縛った場合は、通常、左右の手に1束ずつぶら下げて運ぶため(怪力の持ち主で両手に何束も抱えられるなら話は別だが)、ダンボールのように効率よく量を運ぶことができない。
それでも業者に頼む場合は、作業員に泣いてもらえばいいが、自分で引っ越す場合は悲惨。 トラックから部屋まで距離がある場合などは、手は痛いわ(ビニールひもが手に食い込んでものすごく痛い。軍手をしてもダメ)、いつまでたっても量は減らないわで、もうウンザリ。途中でやめたくなる。
書籍・雑誌は、量が多ければ多いほど箱詰めは大変だし、あとの整理も苦労する。大量の書籍・雑誌をため込んでいる人は、早めに荷造りを始め、いらないものは古本屋に引き取ってもらうなど、量を減らす努力をした方がいい。
引っ越してから本棚に入れながら、「こんな本、いらないやJと整理を始めたら、書籍・雑誌の入つたダンボール20箱のうち、5箱分が古本屋行きになった、という話もある。旧居から新居ヘダンボール箱5箱分のゴミを運んだわけだ。
こんなムダを避けるためにも早めの荷造り、整理を心がけることだ。
レコードは重いので書籍・雑誌と同じように大中小の〔小〕のダンボールに入れる。割れたり変形したりするのを避けるために縦に入れる。CDやMD、DVDなどはレコードのように重くはないが、やはり小のダンボールに縦に入れる。
すき間ができるときは新聞紙やタオルなどを一緒に詰めて箱のなかで動かないようにする。
数百枚の単位でCDやMD、レコードなどを持っている場合は、あとで整理するのがラクなように箱詰めの仕方や荷物表示(荷物リスト)に一工夫を。
引っ越し荷物はこのほかにもたくさんある。すべてについて触れるのは不可能なので、注意すべきいくつかの荷物の荷造りについてまとめておこう。
《ペット》
マイカーやタクシーで移送可能ならいいが、電車や飛行機を使う場合は、利用規定を知っておく必要がある。
たとえば」R東日本の場合、電車に持ち込めるのは「長さ70cm以内、最小の立方形の長さ、幅及び高さの合計が90cm程度」のケースに入れた猫や小大などの小動物に限られる。このため小型大は乗れるが、中・大型大は基本的にダメ(盲導大や介助大は除く)。猫や小大などを持ち込む場合は手回り品料金として270円がかかる。
では飛行機の場合はどうか。国内線では客室内へのペットの持ち込みは不可で、受託手荷物として預けることになる。ペットは航空会社指定のケージに入れるのが原則だが、利用者持ち込みのケージで問題ないと判断されれば、そのまま使える。
事前の予約は不要で、出発当日の搭乗30分前までに手荷物カウンターで申し込み、所定のペット料金を支払う。全日空の場合、東京から大阪まで同社のケージで猫(2kg)を運ぶと4020円(手荷物料金3500円十ケージ貸出料520円)かかる。
大などは乗り物酔いで吐くことがある。引っ越しの前の晩から餌を抜いた方がいい場合もある。かかりつけの動物病院で事前に相談しておきたい。また金魚や熱帯魚はビニール袋に入れ、専門店で酸素を入れてもらうこと。いずれにしろ遠距離のペットの移送は、ペット専門の運送業者に任せた方が安心。
《植物》
鉢植えの植物は、鉢を新聞紙で包み、さらに上がこぼれないようにビニール袋に入れてダンボール箱へ。盆栽は割り箸などで枝を支えておく。水やりは前日から控えめに。
なかに何が入つているのかわかるように、また上に重い荷物が載らないように上蓋は開けたままにしておく。
庭木については専門業者に依頼する。
《貴重品》
貴金属や有価証券、預貯金通帳、印鑑などの貴重品は必ず自分で持ち運ぶこと。旅行バッグなどにまとめておいて、 トラックに運び込む荷物とは別にしておくこと。